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帰り道 (前編)

― 前回までのあらすじ ―


飛空庭崩壊後、行方不明となったパニを探しだす為に、弟妹達は動き始めた。
聞き込みをし…各地を巡ったにも拘らず、何一つ手掛かりは掴めないまま愕然とした日々を過ごす5人。

そんな中、アップタウン下町に住む『何でも屋』にパニの過去を調べる様、情報収集を依頼してた三女アリスティア。
そのアリスティアの元へパニの過去が記された報告書が渡された。
育ての親であり、『母』と呼んでいたセレスの墓前の前で、アリスティアはその内容に驚愕する。
そして――
アリスティア自身が忘れていた幼き頃の記憶を…取り戻してしまった…。


一方パニは、アクロニア大陸東南東にあるマイマイ島・バオバブの森。一般市民は立ち入り禁止と言われる区域に流れ着いていた。
そこで再会した一人の男性。ヴェイカス(本名:ジャス・クリーノ)
侵入者としての処罰を受け入れようとしたパニに、自分がパニとアムニスの父親だと打ち明けたヴェイカス。

突然の言葉に困惑するパニを横目に、ヴェイカスはアップタウンへの帰還準備を始めていた。
全ての荷物を纏めたヴェイカスは、無言で夜の海を眺め続けるパニを促し、トンカへと続くバオバブの森を歩き続けていた。



* 今回はSSです *
 



















「……静かだな」

  私の前を歩く彼が、背中越しに声をかけてくる。


  確かに…真夜中の森のとは言え多少の虫の音や、風が流れると共に
  聴こえてくる木の葉の囁きが あってもいいはずなのに、
  今夜はソレすらも聴こえてこない。
  無音の暗い闇の中を彷徨い歩いている。そんな感じだった…。

 「………」
 
  久々に再会した戦友が、自分の父親だとバカげた発言をしてくれたおかげで、
  今の私は見事に混乱状態に陥っている。
  頭の中でぐるぐるぐるぐると『俺はおまえの父親だ』と言った
  彼――ヴェイカスの言葉が、纏わりついて離れない。
  ヴェイカスが私の父親だなんて、信じられるわけがない。
 

  幼き頃の記憶ではあるが、私の本当の両親は共にエミル族で、
  今で言うファイター系に属していた。


  父の名がハイダル。母の名が…フィリア。


  たしか、父は銃使い――所謂ガンナーで、
  フィリアが剣使い。今の私と同じブレイドマスターと言ったところ。
  寂れた小さな町で、家族三人で暮らしていたのを微かに覚えている。
  豪勢な暮らしをしていた記憶もなく、だからといって貧しい生活を送った覚えも無い。
  至って平凡で、どこにでもある家庭だった。
  私が5歳になった頃だったか、父は家を出ていった。
  何か理由があったのだろう。フィリアと二人で父の姿を見送っていた記憶がある。
  「すぐ戻ってくるよ」その言葉を最後に…父は帰って来ることはなかった――。 
  父が居なくなってから数年後。
  どこで出会ったのか、フィリアはドミニオン族であるジャスという人と再婚し、
  弟のアムニスが産まれた。
  当然ながら、私の義理の父親でもあり、アムニスの本当の父親だ。


  そして…私とは血の繋がりは――無い。


  一緒に暮らした日々は短かったけど、義父の顔は…今でも記憶に残っている。
  だから…言えるんだ。絶対に、ヴェイカスが私の父親なんかじゃないって…。

 
  なのに、どうしてだろう。
 

  この鼓動は…?妙に懐かしさを感じているこの感情は…。
  違うと…頭では判っているのに、自分の心の中にある感情が否定する。
  数年前に初めてヴェイカスと出会った時は、こんな気持にはならなかったのに…。

 「…ヴェイ…カス?」

 「ん?」

  先立って歩いていたヴェイカスの動きが止まり、ゆっくりと後ろを振り返り、
  私を真っ直ぐ見つめてくる。
  その表情は優しく、また、愛しい者を見る目…。

  

 「……っ!?」

  ヴェイカスの視線に妙な気恥ずかしさを感じた私は、自分の足元へ視線を逸らし
  思わずその場に立ち尽くしてしまった。
  何も言わず無言で私の前に立っているヴェイカスはきっと、
  次に放たれる私の言葉を待っているのだろう。
  だけど…
  なぜ彼の名前を呼んでしまったのか自分でも判らなかった…。
  何か、言いたいことがあった…?いや、聞きたいことはいっぱいある。
  私達との関係、みんなとの繋がり。全ての事を今すぐにでも聞き出したい。
  だけど、今のはそうじゃなかった…。
  彼の先行く姿を見ていたら、無意識に名前を呼んでいたんだ。
  なぜ?どうして?
  自分でも不可解な行動に自問自答してみるが、答えは見つからず混乱するばかり。

 「どうした?」

  あまりにも長い沈黙に痺れを切らしたのか、ヴェイカスが口を開く。
  その声にハッと我に返ってみるものの、何かが喉の奥に詰まった感じで
  言葉が出てこない。
 
  

 「夜道が怖いか?なんなら手を繋いでやってもいいぞ?」

  にやりと細く笑いながら手を差し出してきた行動に、
  さっきまでもやもやと渦巻いていた
  訳の解らない感情が一掃され胸内がカッと熱くなった。
  私は両手を力いっぱい握り締め、止めていた足を動かし、
  ズカズカとヴェイカスの横を通り過ぎ背中越しに言葉を放つ。

 「ガキ扱いするな!」

  これが、今の私が言える精一杯の台詞だった。
  顔を真っ赤にしながらふて腐れてムキになる時点で十分子供だと、
  自分で取った行動に後悔しながらも歩く足を止めようとはしない。
  時折、後ろをついてくる足音を確認しながら、私はトンカの街へと続く道を
  突き進んでいた。

コメント

お久しぶりで御座います。

心の何処かで、親を求めていたのでしょうか?

この先、良い方向へゆくか、悪い方向へゆくか、楽しみな所ですね!!

とっ、つい先日ちょっち理由があって、ブログを消去したので繋がらない所とリンクしてて、ご迷惑かけると思い書き込みをしました。

小規模なブログでしたが、今までリンクしていただき、ありがとうございました!!

でわでわノシ

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